Anesthetic management for a cat with arterial thromboembolism associated with hypertrophic cardiomyopathy.

猫の心筋症は,今 日,比 較的多 くの症例が報告 されている。心筋症の発生原因についてはいまだ 不明であるが,そ の病態については,Liu2),山 根 ら5)などの報告にあるように,明 らかにされつつ ある。従来,血 栓を伴 う心筋症の治療は,動 脈に 存在する血栓を外科的に除去 し,血 液凝固阻止剤 を投与することによって行われてきたが,リ スク の高い症例が多 くを占めてお り,そ れらの麻酔管 理には困難な場合が少なくない。 今回,著 者 らは股動脈に血栓を伴った猫の肥大 型心筋症を経験し,麻 酔管理上良好な成績が得ら れたので,そ の麻酔,手 術を中心とした経過につ いて報告する。 症例 ヒ`?ラヤン,雌,8歳,体 重4.Okgで ある。前 日より左脚を挙上もしくはひきずるよう にな り,元 気,食 欲がなく,呼 吸困難との主訴で 本学家畜病院へ来院 した。 〔初診時所見〕 触診により右股動脈圧は軽度に 触 知 で きた が,左 股 動 脈 圧 は全 く触知 で きな か っ た 。 体 温38.6°C,心 拍 数 毎 分204回,呼 吸 は速 拍 で,聴 診 に よ り肺 野 に 粗 れ い 音 を聴 取 した。 血 液 検 査 所 見 は,RBC604.5×104/mm3,PCV 36%,WBC.6200/mm3,Hb7.4g/dl,TP7.7